食べもの屋では、いろんなフチョウを使うことが多いが、なかでもすし屋のそれは一般によく知られている。
すしの歴史は古く、いまからざっと1250年前の文献 (元正天皇の「賦役令」)に、早くも すしの名が出ているが、いわゆる江戸前のにぎりがデビューしたのは、ずっとくだって江戸時代、 天明から文化・文政(1804年~1830年) ころだといわれる。
それまでは押しずし、箱ずし が主流だった。
だから、いまのようなすしのフチョウが生まれたのも、比較的新しいことといえる。
まぐろの赤身と正身(しょうみ)というのに対して、あぶら身のほうはご存知のトロ。
口にいれると、とろっとくるのでその名が生まれた。
いかの足が下足でゲソ、赤貝の足がヒモ、たまごが玉子の玉をとってギョクだが、これとまちがいやすいのがタマ。
これはたまごではなくて赤貝のこと、貝の形が丸いところからきた。
かんぴょうをキズというのは、産地の木津から出たものだが、のり巻がテッポウで、いなりずしがカマスは、ともに形からの連想だ。
わさびのサビはすぐわかるが、しょうがのガリは歯ざわりか ら、しょうゆのムラサキは色からきたもの。しゃこをガレージというのは駄じゃれ。
なお、さばの押しずしをバッテラ というのは、ポルトガル語でボートを意味するバッテイラ からきたもので、これも形が似ているからである。

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