実際の方角と違う土俵の東西

相撲にとって、欠くことのできないのが土俵。

土俵なんていっぺん作ってしまえば、別にくさるもんじゃないから当分は使えるもの、などと考えるのはそれこそシロウト考えで、場所ごとに作りかえるのがタテマエになっている。

それも、ただそこらの土をもってきて盛り上げればいいというわけのものではない。

やわらかすぎず、かたすぎず、ねばりがあって、水はけがよいものというのが条件だそうだからめんどうだ。

東京の荒川上流から出る荒木田の土が最高だといわれている。

この土俵作りは、呼出しの重要な仕事。

お相撲さんは相撲をとって、行司はその勝ち負けを判定すればよいが、呼出しともなればそうはいかないらしい。

「お相撲さんを土俵の上に呼出すから呼出しという名前をもっているが、そのほかもろもろの雑用いっさい、言ってみれば相撲をとることと、勝負判定以外は全部、これ呼出しの仕事といってもいいくらいだ。

土俵がはっきり決められたのは、徳川時代の終わりごろで、その時の直径は約4メートル、二重土俵だった。

土俵が小さいと、どうしても動きが小さくなり、わざにも変化がとぼしくなる。

それに、からだの大きい力士が多く出てきたので、土俵も昭和6年の夏場所から、直径約4.5メートルに広げられた。

土俵の上の屋根は、むかし寺社の境内などの露天で興行が行なわれていたころの名残り。

土俵の東西は、正面を北として裏正面を南、正面に向かって右手を東、左手を西とよんでおり、実際の方角とは必ずしも一致しない。

お相撲さんが土俵にまく塩は、清めるという意味のほかに、土俵のしめり気を適当に保つとか、 万一ケガをした時にもキズを悪化させないためと いわれている。

一場所で使う分量はおよそ七俵、 一石五斗、目方でいえば300キログラムぐらいになるという。


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