生きている化石

野生動物の世界で「生きている化石」といえるのは、原始時代の姿かたちをいまにとどめている動物、すなわち、数千万年にわたって、ほとんど 形態上に進化が認められず、近縁の仲間はほとんど滅びてしまったものだろう。

アフリカ大陸の中央部にあるコンゴのジャング ルにすむオカピは、生きている化石の代表格。

キリンの仲間だが、クビははるかに短く、大きさも小さなウマくらい。

体つきはウマに似ているが、 腰がストンと落ちている。

今世紀にはいってか ら、文明社会に実在を確認された文字どおりの珍獣であり、化石として発見されるキリン科の原始的な仲間にそっくりである。

次に、西アフリカのジャングルに住むコビトカバがある。

これまた生きている化石の一典型。

大きなブタくらいしかなく、五百万年前のカバの先祖に、とてもよく似ている。

おなじみのカバの足には、よく発達した水カキがあるが、コビトカバの水カキは未発達。

それに、カバは水中に体を沈めても、目、鼻、耳を水面に出していることができるが、コビトカバにはそれができない。

オーストラリアや南アメリカにすむカンガルーや、オポッサムなどの有袋類は、未発達な子供を生み落とし、腹にある袋のなかで一人前の赤ちゃんに育てる原始的な動物たちだ。

進化した動物がびっしり分布した地域では、有袋類は滅びてしまい、島大陸のオーストラリアや、長いこと北アメリカとはなれていた南アメリカだけで栄えた。

有袋類は種族全体が生きている化石といっていいだろう。


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