ゴルフという言葉は、いったいどこの言葉なのだろう。
言語学者の中には、オランダ説を唱える人がいる。
オランダで昔プレイされたコルフ(アイスホッケーと、ゴルフの混血のようなスポーツ)が転じてゴルフになったのだという説である。
一方、いや、スコットランドの羊飼いが石ころを打っていたのが、ゴルフの起源だという説もある。
残念ながら記録が定かではないし、ギリシャ説、ローマ説まであって、神秘のベールのかなたに起源があるようだ。
皮肉なことに、スコットランドでゴルフ禁止令が、一四五七年に出たことだけははっきりしている。
弓矢のけいこをするといってはゴルフに興ずるふとどき者が多く、国防に支障があるとまで心配されたらしい。
現代では、社業そっちのけでグリーンに通うサラリーマンといったところだが、いつの世でも限度をこえて、ゴルフの魅力にとりつかれたゴルフ狂がいたのは事実のようだ。
ロイヤル・エンド・エンシェント・ゴルフクラ ブ (セント・アンドリュースにある)には、十四世紀に使用されたクラブが保管されている。
まるでなぎなたのように長く、太いもので、本当にゴルフクラブなのかと疑いたくなるようなシロモノだ。
もちろん、全部木製で、ヘッドらしき部分には家紋状の印が入っていたりする。
十五世紀の中頃に禁止令が出たのだから、年代的にはつじつま が合っている。
スコットランドではエジンバラとセント・アン ドリュースが古さを誇っている。
残念なことにエ ジンバラのほうは火事ですべての記録が消えてしまったので、セント・アンドリュースがゴルフ発祥の地になってしまったようにも解釈できる。
セント・アンドリュースは、そもそも大学と宗教の町であり、その歴史は八世紀にまでさかのぼっている。
北海の波を浴び、猛風吹きすさぶセント・アンドリュースは、いかにもゴルフ発祥の地らしい雰囲気をもっている。
しかも、英国人好みの設定である。